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浪速親父の淫らな純情

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大阪の船場にある老舗呉服屋七代目既婚親父と東京の大学生。淫乱でほろ苦い、歳の差遠距離恋愛の行方を描くハートウォーミング・ラブストーリー。 【あらすじ】 元ラガーマンの茂雄は、大阪の船場に暖簾を掲げる老舗呉服屋の裕福な七代目。妻子持ちゆえ、内緒の男遊びは東京に出張したときと決めていた。そんな時、滞在先のホテルで偶然出会った大学生の祐一。アメフト選手でもある祐一と茂雄はすぐさま恋仲に……。二人の淫乱で甘美な遠距離恋愛が始まったが、つきあって3年が経過したとき、思いも寄らぬ結末が待っていた。 <目次> 一、出会い 二、初めての情事 三、マンションでの露出交尾 四、垢すりボーイの挑発 五、高級温泉宿の夜 六、袖が通されなかった浴衣 <本文より抜粋> 「茂雄は、あっちの方は相当強いと我ながら思う。茂雄の好色は、澤田家の男の遺伝だともいえる。先々代の祖父は女中を孕ませ、先代の父が帝塚山に妾を囲っていたことは公然の秘密だったが、茂雄の場合、その対象はどういう突然変異か、男だった。 とはいえ、元々江戸時代には船場の旦那衆の間で、密かに男色を嗜むというある種の粋な道楽はあった。家柄や格式、家風、しきたりなどを重んじる船場特有の封建的な商人社会の中で、ちょっとそれらから逸脱する気楽な息抜きの意味合いもあったかと思われる。男色でなくとも、昔は妾の一人や二人抱えることは旦那の甲斐性の一つであり、そのことをあれこれ言うのは野暮なこと、という暗黙の了解が確かに船場にはあった。戦後の船場の街そのものの衰退と共に、そうした色道楽も次第に風前のものと化していったが、色欲というのは時代の栄枯や趨勢とはまた別なもので、実は完全に消滅したというわけでもなかった――。 茂雄は、既婚の身であって両刀遣いだと言えなくもないが、正直なところ、女に能動的な欲望を抱いたことは一度もない。結婚も家業を考えると避けられないが故の見合い結婚だった。しかし、妻の夏子のことは家族として大切に思っていることは相違なく、もちろん一人娘の綾香は溺愛し、家庭を壊してまで男にのめり込むつもりは毛頭なかった。  地元の大阪で男遊びをするのは自ら禁じ、むしろ積極的に新地のクラブに出入りして客人などもてなし、上京したときだけ、滞在しているホテルに毎回違う男を呼び、金銭の割り切った遊びに徹することを自分に許してきたのだった。」 *** ■初出『G-men 224号(2014年11月号)』。掲載作『大阪のおっちゃん』を改題・加筆修正。 ■総文字数30000字弱の中編。

大阪の船場にある老舗呉服屋七代目既婚親父と東京の大学生。淫乱でほろ苦い、歳の差遠距離恋愛の行方を描くハートウォーミング・ラブストーリー。 【あらすじ】 元ラガーマンの茂雄は、大阪の船場に暖簾を掲げる老舗呉服屋の裕福な七代目。妻子持ちゆえ、内緒の男遊びは東京に出張したときと決めていた。そんな時、滞在先のホテルで偶然出会った大学生の祐一。アメフト選手でもある祐一と茂雄はすぐさま恋仲に……。二人の淫乱で甘美な遠距離恋愛が始まったが、つきあって3年が経過したとき、思いも寄らぬ結末が待っていた。 <目次> 一、出会い 二、初めての情事 三、マンションでの露出交尾 四、垢すりボーイの挑発 五、高級温泉宿の夜 六、袖が通されなかった浴衣 <本文より抜粋> 「茂雄は、あっちの方は相当強いと我ながら思う。茂雄の好色は、澤田家の男の遺伝だともいえる。先々代の祖父は女中を孕ませ、先代の父が帝塚山に妾を囲っていたことは公然の秘密だったが、茂雄の場合、その対象はどういう突然変異か、男だった。 とはいえ、元々江戸時代には船場の旦那衆の間で、密かに男色を嗜むというある種の粋な道楽はあった。家柄や格式、家風、しきたりなどを重んじる船場特有の封建的な商人社会の中で、ちょっとそれらから逸脱する気楽な息抜きの意味合いもあったかと思われる。男色でなくとも、昔は妾の一人や二人抱えることは旦那の甲斐性の一つであり、そのことをあれこれ言うのは野暮なこと、という暗黙の了解が確かに船場にはあった。戦後の船場の街そのものの衰退と共に、そうした色道楽も次第に風前のものと化していったが、色欲というのは時代の栄枯や趨勢とはまた別なもので、実は完全に消滅したというわけでもなかった――。 茂雄は、既婚の身であって両刀遣いだと言えなくもないが、正直なところ、女に能動的な欲望を抱いたことは一度もない。結婚も家業を考えると避けられないが故の見合い結婚だった。しかし、妻の夏子のことは家族として大切に思っていることは相違なく、もちろん一人娘の綾香は溺愛し、家庭を壊してまで男にのめり込むつもりは毛頭なかった。  地元の大阪で男遊びをするのは自ら禁じ、むしろ積極的に新地のクラブに出入りして客人などもてなし、上京したときだけ、滞在しているホテルに毎回違う男を呼び、金銭の割り切った遊びに徹することを自分に許してきたのだった。」 *** ■初出『G-men 224号(2014年11月号)』。掲載作『大阪のおっちゃん』を改題・加筆修正。 ■総文字数30000字弱の中編。